「死後の待合い」(27分) みんさんという女性は今から十年ほど前に、二週間を開けずに相次いでご両親を亡くされた。これはその時に体験した不思議な出来事である。すでに寄る年波で体を悪くしていた母親を一年と少し介護していた時、いよいよ危篤状態に陥った母のベッドのそばで父親と二人静かな時間を送っていた時、母親の額のあたりから突然湯気のような靄のようなものが沸き上がってきたという。二人して呆気に取られていたがそのうち父親が無言のまま病室を出て行ってしまった。間もなく母親は息を引き取ったのだが、これは魂だったのではないかと……