「家まで送って」(22分) 現在四十五歳の寺田さんがまだ若かくやんちゃだった日のことを話してくれた。当時茨城県の某所に住んでいたが、そもそも彼の住んでいた地域は毎年、割腹自殺、首つり、溺死体が頻繁に見つかるような場所だった。だから本人の霊感というばかりでなく地場も影響していたんじゃなかろうかと……。高校三年生、八月の暑い日だった。悪の仲間と大勢連れだってバイクでひとしきり流した後、コンビニに立ち寄り、近くにバイクを隠すと何するでもなくたむろしていた彼らの傍にいつ来たのか見知らぬ、年頃十六、七の水玉のワンピースを着た少女がやってきて「バイクで家まで送って」と言ってきた。