瀬戸内海を望む田舎町で当時高校生だったイツミさんは恐ろしい光景を目の当たりにした一人だ。以来彼女は人の内に巣くう「呪い」が見えるようになってしまったという。その年の夏、仲良しの優美さんが泊まりに来た。夜中二人で怪談に興じていると「呪いはお盆の最終日、送り火を焚く夜が一番成就する」という話になった。はたと気づけば翌日がお盆の最後、お調子者の優美さんは翌晩近所の神社に肝試しに行こうと言い出した。ひょっとすると誰かが丑の刻参りにやってくるかもしれないというのだ。若い二人はかくして翌晩深夜に人気のない神社を訪れた。