城谷が26歳の時、事情あって陸上自衛隊に奉職することになった。入隊から半年の教育期間、前期3カ月が間もなく終わろうとしていたある日、勤務中にミスを犯し翌日までに反省文を提出しなければならなくなった。しかし日中は業務のためその時間が割けない。消灯、就寝後にこっそりトイレに起きだすふりをして仕上げようと画策したのだが。深夜、ペンライトと筆記具と用紙を隠し持って、隊舎の奥にあるトイレの個室に入ると、程なく隣の個室から苦しそうな呻き声が聞えてきた。
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