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iJockey文庫オーディオブック カインの末裔

櫻井理絵 2011/11/25発売 900円 

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冬が迫る北海道で小作人の仁右衛門夫婦は、痩馬とともにやっとのことで、松川農場にたどり着く。たどり着いた新天地でもまた貧しい生活が待っていた。極貧の中で、罪ゆえか嫉妬と憎悪を抱きながらも仁右衛門にできることは、精一杯生きていくことだけであった。一度はキリスト者であった有島武郎が、神によって救われない者の物語として書いた「カインの末裔」は絶望的な状況の中での、粗暴な主人公仁衛門の粗野な行動を完璧な構成と緻密な文章で描がいている。
有島武郎の「カインの末裔」で描かれている絶望はいまもそこにある。社会の状況はこの作品が書かれた90年以上昔と、似た状況になっていると言っても過言ではない。一度は克服したかに見えた問題も、人が意識しなくなれば再び同じようなことが起こる。風雪に耐えて読み継がれる作品には、時代を超えて人の魂を揺さぶるものがある。物語は繰り返し語られなければならないのだ。
新進の声優櫻井理絵が有島武郎作品の朗読に挑みました。