この「心の故郷 日本の民謡シリーズ」は故藤尾隆造氏が監修したもので、当初カセットテープで発売されたものをデジタル化したものです。藤尾氏は民謡を次のように定義付け要約しています。「民謡は民族生活の潜在意識によりにじみ出た生活そのものの声である。すなわち、1.詩と音楽の自由形である。2. 時代性と民族性に根ざした郷土性。3. 表現法に特定の規律、制約がない。4.旋律と言葉が不離一体である。5. 作者と歌い手が直ちに同化しやい。」・・・等々。そこには聞き手、歌い手の仕切りがなく、庶民的交流があります。民謡の本質を探ることで祖先と郷土に限りない愛着を見つけ、分かち合えることができると氏は云います。本作品に収められている幾つかを藤尾隆造氏の解説で紹介します。
ホーホラホイ節:元はアイヌの娘(メノコ)の哀歌であり、もちろん労働歌である。かつて大楽毛(オオタノシケ)の浜一帯で鰊の引網が27ケ統も並んでいた頃、戦前千島で生まれたこの唄が漁夫の舟漕唄として唄われていた。釧路で公開放送された「NHKふるさとの唄まつり」を機会に、大楽毛在住の故中村敏伍氏が全国に紹介した。
北海荷方節:港町、小樽の花柳界を中心にうたわれた唄だと言われる。江戸時代の末期、ニシン漁で景気のよい江差町には、越後の瞽女や座頭、遊芸人が入り、ヤン衆と呼ばれる内地からの出稼ぎ人やニシン漁で儲けた遊び人を相手にうたっていた唄であり、唄い出しの文句から新潟節と呼ばれた。それに替え唄ができ荷方節と言われるようになったとされる。
収録曲
1. 二声上げ音頭
2. 雇い口説
3. 道南口説(一)
4. 道南口説(二)
5. ホーホラホイ節
6. 酒屋荷出し餅つき甚句
7. 酒屋荷出し木遣り音頭
8. 石狩浜大漁節
9. 磯浜盆唄
10. 江差馬子唄
11. 北海いやさか節
12. 道南いやさか節
13. 北海荷方節
14. 北海木挽唄
15. 盆じゃ踊り
16. 渡島炭焼唄
17. 北海大漁節
18. 江差餅搗囃
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