民謡には心を動かす自然の曲律があります。いわば郷土に生まれた日本人の心の故郷がここにあると言えます。この貴重な文化を残すべく故藤尾隆造氏が全国を巡り監修したのが本シリーズ「心の故郷 日本の民謡」です。本作品に収められている幾つかを紹介します。
おてもやん:熊本を代表する民謡で熊本弁が強く出た陽気な歌詞が特徴である。歌詞に登場する「おてもやん」は女性の名前で「やん」は「ちゃん」の意であるため、今流に言えば「おてもちゃん」ということになる。元々は、熊本甚句(お座敷唄)であり、メロディーについては愛知県の「名古屋甚句」や山口県の「男なら」と同系統のものである。歌詞の由来にはいくつかの説がある。戯れ歌。おてもやんとその結婚相手を肥後勤皇党と孝明天皇にたとえた歌。西南戦争時に薩軍と政府軍のどちらに味方をするか迷う熊本士族を茶化した農民の歌、等々。
五木の子守唄:「子守唄」には、本来の子守唄と、守り子唄(もりこうた)と呼ばれる唄があり、五木の子守唄は、守り子唄のひとつである。守り子唄とは、子守をする少女が、自分の不幸な境遇などを歌詞に織り込んで子供に唄って聴かせ、自らを慰めるために唄ったのである。ここに出てくる「かんじん」とは、「小作人」という意味で乞食を意味している。「かんじん」の娘たちは10歳にもなると、地主の家や他村へ子守奉公に出された。五木の子守唄はこの悲哀を歌ったものである。
収録曲
1. キンキラキン
2. 田原坂
3. おてもやん
4. 球磨川舟歌
5. おりゃんこ節
6. 魚貫草刈唄
7. 肥後五十四万石
8. キンニョムニョ
9. 八代おざや節
10. 五木の子守唄
11. 正調五木の子守唄
12. 熊本自転車節
13. 五木の木挽唄
14. 肥後の俵積み出し唄
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