『イル・トロヴァトーレ』(Il Trovatore )は、ジュゼッペ・ヴェルディが作曲した全4幕からなるオペラである。1853年、ローマで初演された。ヴェルディ中期の傑作の一つとされる。
1850年以降のヴェルディは、作曲家として暮らしには困らない収入を得るようになり、自ら選んだ題材を好きなだけ時間をかけてオペラ化するということが可能であった。そうした環境が整って生まれた作品が、この『イル・トロヴァトーレ』である。
時は15世紀、舞台はスペインのアルゴン地方。この地の貴族ルーナ伯爵の弟は、赤ん坊の頃とても病弱だったが、それはあるジプシーの老婆による呪いのせいだとされ、この老婆は火あぶりの刑になる。このとき伯爵の弟もいなくなり、処刑後の灰の中から幼児の骨が発見された。時は過ぎ、ルーナ伯爵は成人し力のある貴族となった。彼は女官レオノーラに恋をするが、レオノーラは吟遊詩人(トロヴァトーレ)のマンリーコと相愛の関係。ここからルーナ伯爵とマンリーコ、そしてマンリーコ母であり、火刑になったジプシーの老婆の娘であるアズチェーナとの、「恋のさや当て」や「呪い」「復習」といった要素が複雑に絡み合う「愛憎劇」が繰り広げられる。このアルバムでは、それらの名場面をハイライトとしてまとめたものである。
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