サカキさんは現在四十代の開業医である。彼がまだ駆け出しのインターン時代の事。勤めていた大学病院では冬になると若手の医者向けに長期出張のアルバイトの募集がかかった。N県のとあるリゾート施設で三食昼寝付きのアルバイト。内容は冬場雪山で遭難死された遺体の確認である。カチカチに凍り付いた遺体を温泉の湯気と蒸気を利用しいったん解凍させ、そこからがサカキさんの仕事だった。半月何もなく過ぎたある午後、遂に最初の仕事がやってくる。検死確認の仕事を終え、疲れ切ったサカキさんを思いもよらぬできごとが襲い掛かる。
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