看護師をされていたNさんという女性。今から十年ほど前に勤めていた都内のある総合病院には、関係者なら誰しもが知っている噂があった。
「三階の奥の病棟には死神が出る」
迷信だと気にせずにいたNさんだったが移動の辞令が下りて、ある日、自分が三階のナースステーションに配属になってしまう。初めこそ明るい、感じのいい病棟だと思ったのが間もなく師長さんに呼ばれ妙な相談を受けることになってしまう。〝この病棟にまつわる噂を知っているだろうか?〟と。
前任者もその前の担当者も「死神が出る」「死神を見ると必ずそのベッドの患者は死んでしまう」「人の死期が見えて、黙って送るより他ないのは辛すぎる」という理由で、皆辞めていったというのだ。
やがて、噂だと思っていたそれをNさんも目の当たりにすることになるのだが。
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