おなじみ「佐渡情話」は昭和5年に大ヒットした米若の代表作。柏崎から漁に出た吾作は時化に遇って命のないところをお光の父親茂兵衛に助けられた。お光は吾作と恋仲になって、末は夫婦と固い約束を交わしたが、健康を取り戻した吾作は柏崎に帰って行った。あとに残されたお光は吾作のことが忘れられず、盥の舟に乗って柏崎の吾作のもとへ通った。しかし、ある夜、かねてからお光に横恋慕していた七之助が、嫉妬のあまりその盥の舟を壊してしまう。それを見たお光は「綺麗な花が、ああ舟だ、吾作さんの舟だ」とついに気が狂ってしまう。原作は新潟出身の米若自身が地元に伝わる民話をヒントに書き上げた。寿々木米若は本名藤田松平。明治32年新潟出身。上京後、二代目寿々木亭米造に入門。はじめは寿々木亭米若を名乗ったが、のちに寿々木米若と改名。代表作である「佐渡情話」は映画化され「七年後の佐渡情話」「新佐渡情話」などロングランヒットを続けた。読み物の演目も多彩でその数有に150演目を越える。人柄がよく人望があって日本浪曲協会の会長を幾度もつとめ、昭和43年には勲四等瑞宝章を受章。引退後、昭和54年81歳で亡くなる。