「魔の手」(33分) 今から三十年前、体験者の前田さんが航空自衛隊に奉職していた時の事。当時隊内では消防待機という任務があった。各小隊から毎日数名ずつ選出され、その隊員たちは有事に備え8時から翌8時まで営内に服し外出を禁じられるのである。前田さんが選出されたその日は本来なら外出、外泊許可の下りる土曜日だった。テンションは落ち気味だったが、同室の先輩も皆出払っているし思う存分ゲームでもしようと気持ちを切り替え深夜まで過ごした。やがて眠りに落ちると前田さんは奇妙な夢を見た。ある先輩と二人で見覚えのないセントの積載所のような所にいる。見覚えがないのにとても生々しい嫌な夢は現実に繋がっていく。